人生とは旅である

日々の体験を通して考えることを大切にしていきます。

バックパッカーとしての沢木耕太郎

私は沢木耕太郎という人間にある種の尊敬を持っている。

高校時代に初めて沢木耕太郎の「深夜特急」を読んだ時に得体のしれないトキメキを感じた。

大学に入って再度、この本を読み直してみた時にさらにワクワク感が増幅した。

私は自分のことをバックパッカーだと思っているし周りからもそう言われるが、そのきっかけを作ってくれたのは間違いなく沢木耕太郎であり、その代表作である「深夜特急」である。

この本は出版から数十年経っているのに未だに現代の旅人やバックパッカーに語り継がれている名著だ。

沢木耕太郎の新鮮な感性とその透明な感受性に感激を受ける。

深夜特急」は特急という名がついていながら実は電車を使った旅ではないのが面白い。

深夜特急」における旅とはバスを使った旅なのである。

インドのデリーを出発し主にバスだけを使ってロンドンまで旅するというお話だ。

バスを使った旅としてはデリーが出発点なのだが飛行機でデリーに行く途中に沢木は香港とバンコクに立ち寄っている。

この香港編とバンコク編も味があって面白い内容となっている。

私自身の海外一人旅のきっかけは沢木耕太郎によるところが大きいが日本国内の多くのバックパッカー沢木耕太郎の「深夜特急」に影響を受けている事実が大変に興味深い。

それだけインパクトがある素晴らしい内容なのだろう。

私の場合、自分自身の色々な身体の問題があって沢木のような旅はできなかったけど、もしそういう能力に恵まれていれば彼と同じような旅をしてみたかった。

彼は26歳の時に深夜特急の旅を始めたがそれ位の年齢に海外一人旅に出ることはとても大きな経験になり得ると思っている。

しかも彼が訪れたころの40数年前のインドというのは今よりもはるかにひどい状態だったと聞いている。

マザーテレサがカルカッタ(現コルカタ)で現役バリバリ活躍していた頃である。

この頃のカルカッタというのは宇宙一汚い街と呼ばれていたくらい壮絶な状況だったらしい。

私がコルカタを訪れたのは4年前だが40年前のコルカタとはもうだいぶ状況が変わっていて綺麗な街になっており街中には「路上生活者が溢れる」ほどではなかった。

しかし、マザーテレサが現役で活躍していた頃のコルカタ(カルカッタ)というのはそれはそれは目も当てられないくらいひどい状態で貧しい人が路上に打ち捨てられていたのだ。

そうした状況を沢木耕太郎は現ナマで見ているはずである。

彼は横浜国立大学の経済学部を出て大手銀行に入社したのだが初日で辞めたのだった。

初日というより1時間で辞めたらしい。

入社初日の出勤途中、雨の中交差点で傘を差しながら信号待ちをしていた時にふと強烈な違和感に襲われて会社を辞めることを決心しそのまま出勤して「今日で辞めます」と言ってそのまま辞めてしまいそれ以来勤め人をやっていないらしい。

なんて羨ましいんだと思う。

私もそうしたかったがそうできなかった。

私は会社にしがみつかずに生きてこられなかった。

何度も転職して色々な旅を行ってきたけれど基本的には自分の中に何の才能も能力も見いだせずひたすらやりたくないことを我慢して会社勤めをしてきた。

これが私の人生だったのだ。

そして、もういつ死んでもいいと思うようになっている。

生まれ変わったらもっと自由に生きられるような能力に恵まれたいと思っている。

ただ、彼のように自由に生きることが大変に厳しいことは確かだ。

生きているうちに心から憧れる人間に「深夜特急」という本を通して知り合えたことは大きな収穫だったと思う。

せっかく産まれさせられたのだから蝶々のようにひらひらと自由に生きて寿命が来たら力尽きてさっさと死んでいきたいものだ。

そうできないのも何かの業である。

私は生きている限りバックパッカーを辞めることはないだろう。

なぜなら私は生まれつきのバックパッカーであるから。

しかし、沢木とは違ってかなり制約のかかったバックパッカー=旅人である。

自分が自分の人生をどう生きたいのか?あるいはどう生きるべきだと考えているのか?という問題は常に自分がどう死にたいか?どういう最後を迎えたいのか?あるいは後悔しないで死ぬためには残りの時間をどうしていくのか?という命題に直結していく。

自分の人生において海外の旅こそ最も大きいものなのだから最後は海外で死を迎えたいと思っている。

とりわけ大好きで何回も通った思い出の深いバンコクで息を引き取りたいと思っている。

それもバンコクの病院で最期を看取られたいとかの思いは全くない。

何度も通ったカオサンロードの片隅で酒を飲みながら過去の楽しい思い出に浸って過ごし、宿に戻って気づいたら眠るように死んでいたというストーリーが理想である。

この通りにならない可能性が高いがどう死にたいかを具体的に考えてみるのもなかなか楽しいものだ。

さてどうなるか?

1996~97年にドラマ化された大沢たかお主演の「深夜特急」↓もなかなか味があって面白い内容だ。


"japanese trip TV" midnight express 深夜特急 アジア編

沢木耕太郎の「深夜特急」こそ「人生とは旅である」というこのブログの主張を体現してくれているのだ。