横尾忠則さんの本に「インドヘ」という本があり、これを最近読み返してみたらとても素晴らしかった。
この本は自身がインドに行ったことがある人でないと本当のところよく理解できないかもしれない。
それだけインドという国は強烈であるし様々なことを考えさせられる国である。
私自身二度インドへ行ったのだが想像を超える壮絶さであった。
まさに、インドと格闘したと言ってよい。
しばらくはもうインドは懲り懲りだと思っていたが、不思議なものでインドという国はしばらく行ってないと再び気になり始め、また行きたいと思うようになってくる。
「インドは臭い靴下」という例えがあるのだがこれは言い得て妙である。
まさに、一度嗅ぐと臭くて嫌な気分になるのだがなぜかもう一度あの臭い匂いを嗅ぎたくなるのである。
インドの面白さ・・それは一言では言い表せない。道端に人が落ちているように寝ていたり、倒れていたり、牛や猿や犬がいたり、糞が落ちていたり、裸足で人が歩いていたり、とんでもない商売をしている人がいたり、変な人がいたり・・刺激には事欠かない。
車はクラクションを鳴らしっぱなしで頭がつんざくほど煩くて発狂しそうになるし、交通事情は全くのめちゃくちゃ、外国人を見れば嘘をついてぼったくろうとし、レストランの店員は愛想がなくてやる気がなく、食べ物は不衛生で強烈な下痢をしてしまう。
こんなとんでもない国があるのか?と思うのだが、現実に展開されている光景を目の当たりにすると本当にあるのだから致し方ない。
私はインドという国が好きか嫌いかと言えば嫌いである。
インドという国は好きか嫌いかがはっきりわかれる国の1つであり、確かに行った人に聞くとはっきりと意見がわかれるが、しかし好きな人が多いのには驚かされる。
なぜ、あんなひどいインドという国を好きな人が多いかを考えてみたのだが、それはやはりインドに行く人、行ったことがある人は少ないし、そもそも興味があるから、あったからこそ行ったわけで、自動的に好感を持つ人が増えるのも致し方ないわけである。
清潔で秩序だった日本国とは真逆の国がインドという国であり、もし仮に日本国民全員をインドに連れて行ったと仮定すると宿から一歩も出られないどころか部屋の中で発狂してしまう人が結構でるのではないか?と思う。
それだけ強烈な感覚を体感できるからこそ貴重な国であるとも言え、はまる人ははまり何度も訪れるリピーターになっていくのである。
そんなインドという国、最近再び行きたくなってきている。あの強烈な刺激を肌で再体験してみたくなってきている。
無数の路上生活者や物乞いはいったい何をやっているだろう?
私が考えている悩み事なんて彼らの想像を絶する地獄のような生活からしてみれば本当に本当に悩みにもならないようなことだろう。
彼らにとっては生そのものがあまりにも強烈な地獄である。
日本で転落して路上生活になった人などのストーリーを集めた本が出ているのだが、それとはまた違う。
インドの路上生活者の多くは最初から転落しているのである。
途中から転落して行ったのではなく、カーストの最下層にいたり、アウトカーストにいたりすることでろくな仕事がなく、家もなく、それが先祖代々続いている状態だから生まれたときから既に転落している地獄の状態からスタートしているのである。
そして、その状態からどうあがいても這い上がれない状態で生きているのである。
日本のように貧しくても本人が努力すれば這い上がれる可能性があるというような甘い状況ではない。
最初から転落しており、そのまま這い上がれずに泥の中を這いずり回り死んでいくことがほぼ決定している人が非常に多く住んでいる国でありそれを改善しようともしていないのである。
そんな状態の中に日本の価値観を持ち込もうとしてもまるで無駄である。
あの壮惨な地獄絵図を一度見てしまうと他の何を見てもあまり驚かなくなる。
まさに、価値観そのものに揺さぶりをかけられてしまうのだ。
バックパッカーにとってインドという国は1つの登竜門である。
インドを経験したかしていないかで経験値がだいぶ違うからである。
さて・・次はいつインドに行こうかな?