死ぬことって本当に凄い体験だと思う。
死んでしまうと目の前の光景がすべて消えてなくなり、何も見たり触ったり感じたりできなくなるからである。
生きていること自体が錯覚なのかもしれないと思うことすらある。
今目の前に見ているもの、聞いている音、感じているものは脳が作り出したファンタジーなのではないか?とすら思うことがある。
死んでしまうともう何もかも手が届かないところに行き二度と復活することができない。
生きることと死ぬことの間にある大きな断絶には驚きが隠せないでいる。
結局どんなに頑張っても死んでしまうという事実には気が狂いそうになる。
どんなに頑張って働いてもお金をためても身体を鍛えても、資格をとっても、友人や恋人を作っても子供を作っても死んでしまえばもうそれらとは完全なお別れであり、永遠に再開することができない。
しかも死はほんのすぐ先に存在している。
これは凄いことだ。
私の人生とは何だったのか?と感じられずにはいられない。
全ての体験や記憶は過去に行ってしまった。
今知覚できるのは目の前にある五感で感じられるものがすべてだ。
生きるとはたったこれだけの小さなことのようだ。
それなのに人生に色々と思い悩む。
悩んでも仕方ないと思う。
悩んでも悩まなくてもいずれ死ぬ運命にあるのだ。
時間が過ぎ去ってしまえばそもそもあったものかどうか?すら疑わしいような記憶の彼方に行ってしまい、死によってすべての記憶は消滅していく。
悩まずに適当に気楽に生きて死んでいければいい。