部屋の中を掃除していたら高野悦子さんの「二十歳の原点」を発見し読みふける。
高野さんは1949年生まれで1969年立命館大学3年生の6月24日未明に鉄道自殺して20年と言う短い人生を閉じた。
この本は69年1月から6月22日までの半年間の手記がメインになっている。
かなり激しく人生に葛藤し悩み孤独に苦しんでいた様子が彼女の日記から伝わってくる。
20歳の頃と言うのはとりわけ人生に思い悩むものだと思う。
人生で初めての体験も多いし、その経験をどう自分の中で処理していいかもよくわからない。
彼女は盛んに孤独であると書いている。
私の20歳の頃も非常に孤独感が強かった。
毎日死にたいと思っていた。
自分自身を許せないというか自分自身に納得できない気持ちでいっぱいであった。
劣等感やコンプレックスの塊であった。
そんな20歳の頃にこの「二十歳の原点」を読んで凄く共感した思い出がある。
そして、無事に自殺を遂げた彼女を羨ましく思う気持ちもあった。
この本を最初に読んだ時に「アンネの日記」に似ていると思ったけど、今回再読してみて同じ感想を抱いた。
自分自身の中での激しい葛藤や強烈な思いを類まれなる分析力と文章力で表現している。
青春とは強烈な体験だ。
そして耐えがたいほどつらい時もある。
いま彼女が生きていたら67歳くらいになっているだろう。
仮に自殺を思いとどまったとしたら彼女は生きていて良かったと心から思うだろうか?
これは難しい問題である。
果たして生きていることが良いのかどうかよくわからない。
我々は皆、人生と言う濁流に飲まれて流されているだけである。
彼女はその濁流に飲まれ流されるのを拒絶し自らそのただ中で溺れ死んでいった。
人間の人生とは実に哀しいものだ。