哲学者中島義道さんの本を読んでいて共感したのは、「人生において本当にすべきことはわからない。しかし、すべきでないことはわかるからできるだけすべきでないことに時間を費やすのはやめよう」というような言葉である。
中島さんの哲学に一貫して流れている思いは「人は必ずいつか死ぬのになぜ苦しい思いをして生きていなければいけないのか?」ということである。
もし、私が明日死んでしまうとしたら今日の14時から行われるくだらない職場の会議に出るだろうか?他人の葬式にでるだろうか?行きたくもない地域の会合に出るだろうか?というような素朴な疑問である。
こういうことを色々考えていくとなかなか面白い道が開かれている。よくよく考えてみると全てやらなくてもいいような気もしてくる。
人生においてすべきでないことがやたらに多いように感じてくるのだ。
しかし、人間という生き物は所詮暇なのだ。どうせ死んでしまう割にはなかなか死なないのだ。だからこそ人生が結構面倒くさいのである。
人生においてすべきこととすべきでないこととはいったい何なのか?
それを分けるのは直感的な感覚でいいように思う。なんだかこれをしたくないなあ・・と感じたら恐らくその人にとってそれはすべきでないことなんだろうし、これをやっていると自分がイキイキしているなあと感じたらそれはすべきことなのかもしれない。
ただ気をつけねばならないのは、その行為が相手を殺したり著しく傷つけたりしないようなことに限られるということである。
例えば、私は人を殺して切り刻んでいる時が一番充実していてイキイキしているんですぅぅぅ・・みたいな猟奇的な人はいくら自分が楽しくてもそれはすべきでないからだ。
そうやって、社会の役に立ちながら且つ自分も充実できるようなすべきことを探してみると意外と少ないことに気付く。逆にすべきでないことはたーーーーーくさん転がっている。
世の中には驚くほど「成功するために、人生を充実させるために○○すべし」みたいな本が溢れている。しかし、身体一つでその全てをこなすことができるはずがないのだ。何もかもを手に入れようとすると逆に何も手に入らないという皮肉が待ち受けている。
結構、人生ってものは何もしない方がうまくいったりするものだ。結局、人間はただ生きているだけなのであり、どういう状態であっても自分自身に価値を見出せればいいのだ。