黒川伊保子さんの『恋愛脳ー男心と女心は、なぜこうもすれ違うのか』は大変面白い本である。

- 作者: 黒川伊保子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/02/28
- メディア: 文庫
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この本のP16にこんなくだりがある。
~本文引用~
したがって、相手の男に飽きないかぎり、女は「好き?」「もちろん、好きだよ」みたいな会話を毎日だってやっていられるのである。
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はい、来ましたね。「私のこと・・・好き?」みたいな女からの質問、来ましたね。私はこうした質問を直接生身(なまみ)の女からされるのは大変苦手だが、そうした質問をされている(私ではない別の)男の困った表情を外から見てニタニタしているのが大好きである。つまり、真性のドSだということになる。
女性からすると単純に愛している男、好きな男から『好きだよ』と毎日言ってもらいたいだけである。ただの愛情確認である。さて、困ったのは男性の側だ。男という生き物には『愛』なんて感情はそもそも存在していない。ここが大問題である。だから、自然と相手の女性に嘘をつかねばならなくなる。
本当は好きではなくても、愛していなくてもとりあえず、『好きだよ』とか『世界で一番愛しているよ』とか言わなければならないのである。これが自分を偽っているような気がして、不誠実な気がしてたまらなく苦しいのである。男はやたらと誠実で、責任感が強く、嘘をつくのが苦手な生き物である。
だからこそ、『私のこと・・好き?』と女から聞かれたら、ついつい『もちろん、君のことは大好きだよ。でも同僚の○○ちゃんのことも同じくらい好きだよ』とか『もちろん、今は君を誰よりも愛しているよ。でも、昔付き合っていた○○のことを一番愛していたよ』とかの余分な情報を付け加えて言いたくなる。
しかし、まあこうした答え方ならよかろう。もっと自分に正直な男になると『いや・・・別に好きではないかな』とか『うーーん、まあ仕方なく一緒にいるだけかな?他にいい人いないし』とか『好きとか嫌いなんてどうでもいい。責任があるから一緒にいるだけだよ』とかの言葉を言いたくなってしまうのである。
もうここまで来たら完全に終わりだ。女は怒り狂い発狂しすぐに自分のもとから去っていくことになる。例え、平謝りしご機嫌を取り直したとしても死ぬまで一生涯そのことを蒸し返され『あなたはあの時、私にこう言ったのよ!!(怒)』と言われ続けることになるのだ。
男は女の気持ちが、女は男の気持ちが良くわからないようにできている。これは紛れもない事実だ。男の恋愛や結婚やお付き合いとは一言で言うと『責任感』で成り立っているように思う。責任感があるからこそ相手の女性のために一生懸命頑張るし、『好きだ』とか『愛してる』だとかの嘘を吐けるし、一生懸命働いてお金を稼ぐこともできる。そこに『愛』という感情はない。『愛』よりも『責任感』の感情が勝るからそうしているだけである。
女はそうした感情の差異を根本的によくわかっていない場合が多いのである。私を愛しているからこそ私のために頑張って働いて尽くしてくれていると思ってしまうのである。そして、私を愛しているからこそ毎日『好きだよ』とか『愛してるよ』とかの言葉を言ってほしいし、言ってもらうのが当たり前だと思ってしまうのである。
これは、単純に子育てと関連している。女性は子供ができたら自分が責任を持って育てなければならない。そして、一定期間は仕事をしてお金を稼ぐことが難しくなる。男に頼らなければいけなくなる。だからこそ、男の愛をいつもいつも確かめ、確認し、試したいという本能があるのだ。
まあ、そうは言っても無責任な男ってたくさんいるから仕方のないことなのだろう。それでもなあ・・私なら毎日毎日『好きだよ』とか『愛してるよ』とか言い続けるのって無理だ。私は自分に大変正直だから、ついついその時感じている本当の気持ちを言いたくなってしまうのである。これはいかん。男は嘘をつかねばならない。思っていることをそのまま言ってはならない。とりわけ自分の遺伝子を後世に残したいと思っている男にとって嘘は必須である。
てなわけで、皆さんももっともっとたくさん嘘をつきましょう。嘘は人間関係の要です。ブスにも『綺麗だね』とか言ってあげましょう。